JATO Dynamics社とソフィコ社がWLTPデータの復号に参入

WLTP (Worldwide Harmonised Light Vehicle Test Procedure、乗用車等の国際調和燃費・排出ガス試験法)の導入期限が過ぎましたが、ヨーロッパの多くの自動車メーカーやリース会社は、いまだにCO2コンプライアンスに関する大きな課題に直面し続けています。

乗用車の燃費とCO2排出量をより正確に測定するために2015年に制定されたWLTPは、当初から自動車業界に様々な課題を突き付けてきました。

車両から排出されるCO2量について、リース会社が顧客に膨大なデータを提供しなければならないことが最近の懸念点です。ヨーロッパでは年間約1,500万台にのぼる様々なスペックの新車が販売されており、フリートの戦略的な判断をデータに依存している多くの自動車メーカーやリース会社にとって、膨大なデータ処理が重荷になっています

JATO Dynamics 社の欧州セールスリース部門の責任者である Olivier Peijs 氏は次のようにコメントしています。

「WLTPは常に非常に複雑な問題であり、業界が”導入が困難だ”と言うのは当然のことです。しかし、自動車メーカーからリアルタイムでWLTPデータを取得することは、今や自動車業界にとって非常に重要なことなのです。特に、厳しい予算と厳格なフリートポリシーを持つ顧客に直面しているリース会社にとって、WLTPデータをリアルタイムで取得することが重要になっています。正しいWLTP値がなければリース会社は車両登録や道路税などで思わぬコストに苦しむことになり、自動車メーカーは顧客のカーポリシーに合わないモデルを製造してしまうことになります。」

2021年1月1日以降に販売される新車すべてのバージョンには、独自のWLTP値が設定されます。標準バージョンに対する変更(オプションの追加など)はWLTP値に影響を与える可能性があります。したがって、メーカーは、正確なWLTP値を計算するために、CO2排出量、車両重量、燃費など主要なWLTPファクターを決定するために詳細な分析を必要とする広範なデータを取り扱わなければならないのです。さらに複雑なことに、WLTPが欧州全域で道路税や登録税などの地方の税制や、福利厚生に影響を与える可能性があるのです。

WLTPデータは自動車メーカーから様々なフォーマットで提供されるため、リース会社で共通のフォーマットに変換しなければなりません。さらに、データが不足していたり古かったりするとリース会社は自分たちでデータを取得しなければならず、リソース、インフラ、技術、スタッフに負担が掛かります。

このような課題に対処するために、JATO Dynamics社はJATO WLTP Linkを開発しました。これは、オプションの追加や新しい排出量データなどの更新も考慮に入れた、燃費とCO2排出量の数値を取得するための中央アクセスポイントとして機能します。

オートリース企業向けソフトウエアを提供するソフィコ社は、JATOのサービスを基に、リース会社の顧客にリアルタイムのWLTPデータを提供するソリューションを開発しました。JATOからデータを得ることで、顧客は複雑なWLTPに煩わされることなく、従来通りのビジネスを継続できるのです。

ソフィコ社の担当エキスパートのJordy Plaetinck氏は次のように述べています。

「リアルタイムデータを効果的に導入することは非常に複雑ですが、JATO、ソフィコ、自動車メーカーのすべての関係者は、リアルタイムデータを統合してパフォーマンスを向上させるため多大な努力をしています。汚染物質排出に関する車両タイプの認可も将来的にはさらに変化する可能性がありますが、お客様が現在必要とする最新の正確なCO₂ 排出量と燃費データを提供できるようになりました。」

ALD Automotive社のセールス&マーケティングディレクターであるBenjamin Daels氏は、WLTPソリューションの効果について次のようにコメントしています。

「ALDオートモーティブでは、新しいトレンド、市場開拓、税制改正について可能な限り最良のガイダンスをお客様に提供することが私たちの責任だと考えています。そのため、お客様に提供する文書にNEDCとWLTPの値を表示できることが重要でした。JATOとソフィコのスムーズな協力のおかげで、複雑な状況をお客様のための透明性の高いソリューションへと迅速に転換することができました。」